1月1日2020年
新年明けましておめでとうございます、
今年もよろしくお願いします。
56回目を迎えた「ゴルフ日本シリーズ・JTカップ」は、
30人のみに出場権が与えられるシーズンの最終戦でした。
石川遼の前回大会は、最終日に猛チャージを見せ、
小平、ハン・ジュンゴンとのプレーオフに残りましたが、
惜しくも優勝を逃していました。
シーズン序盤は腰痛のため棄権と欠場が続きましたが、
しかしこの間にトレーニングを重ね、
スイング改造の結果、ドライバーの飛距離は、
昨年の平均289.35ydから、305.9ydと15yd以上伸びており、
大会前のドライビングディスタンスのランキングで
4位にランクインしていました。
復帰戦となった6月の「日本ゴルフツアー選手権」では、
苦手だった茨城・宍戸ヒルズカントリークラブを
20位で終えると、7月の「日本プロ選手権」では
最終日にトップと並び、ハン・ジュンゴンとの
プレーオフを制し初制覇。
さらに翌週の「セガサミーカップ」で2週連続優勝と、
最高の復活劇を見せました。
その後もトップ10入り3回と上位に食い込み、
賞金ランキングは5位で最終戦を迎えていました。
09年に賞金王に輝いてから10年が経ち15年に優勝し、
昨年はプレーオフで小平に負けた
「JTカップ」で再び頂点を目指したのです。
石川の活躍を横目で見ながら、
淡々と賞金を積み重ねてきたのが今平周吾でした。
日本ツアーの賞金王として、海外メジャーにも参戦。
しかし、4戦すべて予選落ちと
海外の高い壁に阻まれています。
それでも国内ツアーでは4週連続初日首位発進など
安定した強さを見せ、優勝を含むトップ10入り15回。
10月の「ブリヂストンオープン」で
ツアー通算3勝目を飾っています。
今平の安定感はスタッツにも表れています。
大会前のパーオン率が71.56%の2位、
パーキープ率が88.23%、平均ストロークが69.61で
ともにトップに立っています。
バーディー率も4.21の5位と
パッティングさえかみ合えば、
いつでもビッグスコアを狙えるという状態でした。
10月最終週に中国で行われた
「WGC HSBC チャンピオンシップ」の
出場権を得ながらも辞退し、
日本ツアーに専念。
11月の「ダンロップフェニックス」では
今季2勝目を挙げ、賞金王レースを独走し、
2位のショーン・ノリスが優勝しない限り
2年連続の賞金王が確定するという状況でした。
今平は単独首位で迎えた最終18番ホールで
残った強烈な下りで、
フックラインの1mのパーパットが
勝負の分かれ目でした
「タッチを合わせてもオーバーをする。
薄めにラインを読んで強く行った」と、
覚悟を決めて放った一打は
無情にもカップ左をすり抜け、
返しの4mも外してダブルボギー。
2位が5回というシーズンの締めくくりは、
いっそう無念さが募るものになりました。
石川はサンデーバックナインでパーは
10番だけという内容で「優勝を意識した」という
11番のバーディを含め、
そこから8ホールで5バーディ、
3ボギーでホールアウト。
「周りの選手の力というか、
やっていてすごい楽しかった。
いままでの優勝争いでも一番と言えるくらいでした。
周吾と優勝争いができて、ノリスもいて、
これ以上ない環境のなかで、
日本ツアーのトップ選手のなかで争いができた」と、
語りましたが、バーディ率「4.55」は
年間1位の数値でした。
石川は「あんな泥臭い人いるのかというくらい、
へばりついていった」と振り返りましたが、
勝利への執念を18番のパー3に凝縮させました。
1打リードで迎えた正規18番では
5Iのティショットを右に外します
「左手前に乗せて、いい上りのパットを残して」という
思惑とは真逆の、ラフから高速グリーンに向かって
打ち上げ、ピン方向へ下っていく
難しいアプローチを残します。
すでに通算8アンダーでホールアウトしていた
ブラッド・ケネディとのプレーオフを覚悟しますが
「よし、リベンジできる!」と、
1年前に敗れたプレーオフの
雪辱を果たすこと考えたといいます。
18番の繰り返しの1ホール目も
また右バンカーから絶妙な寄せを見せてパーセーブ。
2ホール目も三たび右へ、
それでも必死にパーを拾いました。
3ホール目、ピンはグリーン右サイドの、
より奥側へ切り直されました。
4Iに持ち替えて左下2.5mに絡め、
バーディで決着をつけましたが、
練習でよく使う番手で思ったように
打てたということでした。
2010年以来のシーズン3勝で
生涯獲得賞金は10億円を突破しましたが、
28歳2カ月21日での到達は、
池田勇太の31歳8カ月26日を
大幅に上回るツアー最速記録でした。
「いままでの優勝とは、全く違う。
また違う勝ち方だったというのは、
また優勝したいという気持ちにさせてくれる。
ただ、頭のなかで引っかかっているところもある。
課題と向き合いながら、
来月のシンガポールオープンを迎えたい。
『いまこうだから、あしたこうやってみよう』
という気持ちが強いですね」と、
達成感を語るとともに、
新しいシーズンを見据えていました。
2019年の日本ゴルフ界では
「AIG全英女子オープン」で渋野日向子が
優勝する快挙もあり、98年度生まれの
同世代女子選手たちがツアーを席捲し
「黄金世代」として注目されましたが、
男子ツアーも若い世代が勢いを見せはじめています。
96年生まれの23歳・星野陸也は、
身長186センチと恵まれた体格から繰り出される
ドライバーショットは300yd越えの
飛距離が注目されています。
イーグル獲得数も15回と、ツアー最多となっています。
ただ星野は飛距離だけが魅力なわけでなく、
パットのうまさも光っています。
平均パットは1.7324で4位、
パーキープ率も85.69%で11位と、
ミスを取り戻す力も持っているため、
総合的な技術力をランク付けした
トータルポイントランキングでも3位と健闘しています。
「ダンロップスリクソン・福島オープン」では、
1年ぶりのツアー2勝目を挙げ更なる活躍が期待されます。
星野とは対照的に、身長158センチと小柄な体格ながら、
9月の「KBCオーガスタ」でツアー初優勝を飾ったのが
24歳の比嘉一貴です。
沖縄育ちの比嘉は、宮里兄妹の父である
優さんに師事し、高校時代には
ナショナルチームに選ばれ、
大学はゴルフの名門・東北福祉大に進学。
17年の日本オープンではローアマも獲得しています。
アジアンツアーの下部カテゴリーで勝利を挙げ、
日本だけではなく世界に目を向けた
戦いには期待が持てます。
賞金王となった今平が92年生まれで
学年としては石川、松山の1つ下で、
同級生には堀川未来夢がいます。
さらに、石川の高校の2年後輩となる
浅地洋佑や同学年の時松隆光といった選手が
徐々にツアー上位で活躍するようになってきました。
そして星野、比嘉といったさらに若い世代が加わり、
ツアー全体の若返りも見られるようになってきています。
今年は「東京オリンピック」も開催されますが、
日本のゴルフ界にとっても
話題の豊富な一年になってもらいたいものです。
読者の皆様にとっても
素晴らしい一年になることをお祈り申し上げます。