11月1日2019年
「日本オープンゴルフ選手権」の最終日、
ドライビングレンジでプレーオフに備えていたチャン・キムは
優勝を知ると左手で顔を覆い涙を流しました。
2年ぶりとなるツアー4勝目でしたが難攻不落の
古賀CCの18番をドライバーで攻め、
5mのバーディパットを沈めて最終日「67」をマーク。
通算1オーバーで抜け出し、塩見、堀川の終盤の失速もあり、
日本のメジャー大会を初めて制しました。
3勝をマークした2017年、C・キムは背中の痛みを訴え
賞金王争いを演じていた終盤戦を回避しています。
「何もできず、病院にいる期間も長くて
友人に会うことすらできなかった」という深刻な病状でした。
左手首にも故障があり、
今年1月の「SMBCシンガポールオープン」は、
不安を抱えたままの復帰でした。
時間の経過とともに体調とゴルフの状態も上げて、
賞金ランク7位で迎えたメジャー「日本オープン」でした。
古賀GCは6817ydと短く、狭く絞られたフェアウェイと
深いラフが特徴で、2008年大会で優勝した片山晋吾は、
1Wをキャディバッグから抜いてプレーをして話題になりました。
練習ラウンドでC・キムもティショットで3Wや
ロングアイアン中心のマネジメントを試しますが、
次第に積極策をとることを考えたということです。
ドライビングディスタンス部門を
ダントツでリード(平均319.57yd)する、
日本ツアーで一番の飛ばし屋は
「僕はトラブルを越えていくことができる」と、
最終ラウンドでは1Wを10回握り
リーダーボードを見ないままプレーしたということです
72ホール目は「バーディを決めれば
トップ3に入れると思って打った。
スコアを見ていたら心境も変わったと思う。
逆に見ないでよかった」と、振り返っています。
最終ラウンドをスタート時点では5オーバー17位でした。
トップとの8打差をひっくり返したのは、
ツアー記録に1ストロークに迫る大逆転劇でした。
「今までの苦しみを考えると、大きな意味がある」と、
賞金ランキングも一気に1位に浮上しました。
13番まで2位を4打リードしていた塩見好輝の
待望のツアー初勝利はお預けになりました。
14番でダブルボギー、15番でトリプルボギーをたたいて
リードを失い一気に失速。
最終ラウンドは前半「36」に対し、後半「43」。
通算5オーバーの10位タイに終わり
「14番のダボはもうしょうがない。
ぜんぜん大丈夫だった」と振り返っていますが、
首位の座を明け渡した15番のプレーには
「ちょっと欲が出た。バーディを獲りに行こうと思った」と、
悔やんでいました。
フェアウェイからの第2打はピンまで残り100ydで
「すごいフォローだったので、
SWだったらちょうどいいと思った」と、
決断したのですが、グリーンに落ちたボールは
バンカーに転がり落ち、左足下がりのライから脱出に
2打を要すなど5オン、2パットのトリプルボギーとなり、
シード権も確定できずに大会を終えました。
「日本ツアー選手権・森ビル杯」で初勝利を飾り、
メジャーでのツアー2勝目がかかった堀川未来夢は
塩見の失速により、終盤17番で突如首位に浮上しますが、
上がり2ホールを連続ボギーとして2位タイに終わりました。
17番のパー3では右サイドのピンに対し、
第1打をグリーン手前に刻む作戦に出ながら、
グリーン上で首位に立ったことを確認した後の
2mのパーパットを外します。
トップタイで迎えた最終18番は、
手前の花道から「一番自信のあるクラブ」として
パターをチョイスしますが、
ピン手前から再び2mのパーパットを外し万事休す。
堀川は「こういうコースでこそ、
マネジメントがつくづく大事だと感じた」と振り返りましたが、
賞金ランキングは9位から6位に浮上しました。
堀川は、自身のマネジメントに徹して17番のパー3では、
ワンオンを狙わず刻むという選択を取りました。
またC・キムは、最後まで難コースを恐れず、
持ち味である飛距離を武器に積極果敢に攻めたことで、
大逆転に成功しました。
紙一重の差ですが、バーディもダブルボギー以上も
多く出るコースで、極度の緊張感の中での攻守が、
明暗を分ける「日本オープン」らしい
シビアなセッティングでした。
予選カットライン上の53位タイで決勝ラウンドに進んだ石川遼は
シーズン初めての予選落ちはなんとか免れました。
「昨日を終えた段階で70位くらいまで来ていたので、
カットラインが落ちて通るかなという思いで寝ていました」と、
決勝ラウンドの準備をしていた様です。
インスタートの「裏街道」となったムービングデーも
「通ったからには何があるか分からない。
なんとか自分ができる最大限のゴルフがしたい」と、
序盤からドライバー中心の攻めのゴルフでした。
第3ラウンドは13ホール消化して、
通算7オーバーの暫定27位タイと順位を上げ
日没サスペンデットとなりました。
石川の最終日は23ホールの戦いで、
全員がスコアを落とす展開でしたが、
3日目を69、最終日を71とまとめ、
最終的には12位タイに順位を上げ、
シーズン終盤の活躍にも期待が持てそうです。
「富士通レディース」の最終日は、1打差2位でスタートした
アマチュアで19歳の古江彩佳が、6バーディ、1ボギーの「67」
通算17アンダーとスコアを伸ばし
史上7人目のアマチュア優勝を成し遂げました。
前日は「優勝できたら夢のまた夢」と語っていましたが、
現実となり「本当にとりあえずうれしいです」と、
喜びをかみしめました。
優勝により「プロ宣言」が可能になったため、
予定していた最終プロテストは免除になりました。
「プロテストはしびれると思うので、
運が良ければ優勝したいと思っていました。ほっとしています。
プロテストは普通の試合とは違うと感じていました。
失敗できない恐さがある。それに比べれば
今日の方が楽だったかもしれない」と語りましたが、
LPGAの理事会での承認を経て
「樋口久子・ 三菱電機レディス」での
プロデビューが決まり
「賞金女王になるのが小さい時の夢だった」と、
改めて目標を口にしています。
賞金総額2億、優勝賞金3600万円の
「NOBUTA GROUP ・マスターズGCレディース」は
「アースモンダミンカップ」「日本女子プロゴルフ選手権」と並ぶ
年間39試合の最高額の試合で「賞金女王」を占う大会です。
2週ぶりに出場の渋野日向子は、
日米ツアー共催の「ZOZOチャンピオンシップ」を控える
千葉県・習志野カントリークラブで行われた
エキシビションマッチを観戦しました。
米ツアー81勝のタイガー・ウッズと初対面し
「オーラがすごい。ゴルフ界の神様、生きる神ですよね」と、
興奮気味に話していました。
渋野は先輩プロの有村、笠と一緒に観戦。
関係者から「今年の『AIG全英女子オープン』の優勝者」と
タイガーに紹介され記念撮影しましたが
「2ショットも撮ってもらって、過呼吸になるかと思った。
あああああ、おお、みたいな感じで、
撮影してもらったときは手が震えていました」と、
笑顔で目を輝かせていたということです。
賞金ランキング1位のシン・ジエを、
約610万円差で追って迎える高額賞金の大会ですが、
会場のマスターズGC内には、
2011年の東日本大震災のチャリティイベントで、
コースを訪れたタイガーが植樹した木もあります。
「本当に大事になると思う。今日の調子はまだ何とも言えないけど
しっかり練習していきたい」と、
渋野の目標である「賞金女王」と
「東京オリンピック」のための戦いが続きます。