体質の違い
最近来店されたお客様に「なぜ韓国の女子はあんなに強いのですか?」と聞かれました。
以前このコラムでもふれたことがありますが、
タイガー・ウッズもジャック・ニクラウスも、
技術面では世界のトップレベルの域に達するまで10年の歳月が必要だったのです。
ミッシェル・ウィーも4歳でゴルフを始め、15歳の時ナビスコ選手権で4位
翌年全米女子プロで2位に入りプロ入りしたのが16歳でした。
最近の活躍してい る少女ゴルファーは
幼いころからしっかりとしたコーチング理論を持つ良き指導者のもと、
恵まれた環境で練習に打ち込めることと、
男子より体力面の成長が早 く15〜16歳で
男子なら20歳に当たる体力がつくことで、
女性ティーンアスリートの活躍は当然のことです。
また現状として、女子のプレーフィールドは
男子に比べて選手層が薄く、同じ努力をしても
女子の方がアメリカンドリームをつかむ可能性が高いのです。
韓国での師弟関係は日本の相撲部屋に良く似ています
相撲では二段目は三段目を、三段目は幕内とひとつでも上のレベルを目指し、
師匠の号令のもと上の者が下の者を指導し、
下から這い上がろうとする者は親方、先輩を尊敬し指導について行くのです。
最終的にはアマチュア(新弟子)からメジャーチャンピオン(名横綱)となるための
「心、技、体」を家族のように、生活を共にしながら磨いていくのです。
特に冬の間の海外合宿では家族から離れ、
師匠のプロゴルファーと弟子がチームとして寝食を共に行動します、
師匠の元を旅立ち世界のツアーで活躍する先輩プロゴルファー達も
シーズンオフは次のシーズンのための準備期間として、
一年の反省と新しい課題に取り組むのために帰って来ます。
師匠の弟子は、皆兄弟であり
有名プロゴルファーでも進んで後輩にアドバイスします。
現役である以上は常に努力をする、ゆっくり休むのは引退後と考えているのです。
北朝鮮との有事に備えて、徴兵制がある韓国では
上下関係をはっきりさせる秩序社会が出来上がっています。
軍隊では年齢より入隊日が重要になります
高校卒業後まもなく入隊した者と、一期後に大学入学後入隊した者では
年齢は高卒で入隊した軍人が若いのですが、
何期か前に入隊しているため先輩として制裁を加えます、
除隊後もこの上下関係は永遠と続きます。
韓流ドラマでもよく年下だと思って「お前何期だ」と聞いたところ
先輩でひどく叱られる場面が良く登場します。
医者や弁護士は大学の格と卒業年が同じ意味合いを持ちます、
女性の間でも先輩、後輩の関係は日本よりは 色濃く、
その秩序ある上下関係が強い民族愛につながっているのかと思います。
もちろん全ての韓国人が素晴らしいとは思いませんが、
少なくても私の知っている韓国人プロスポーツ選手達の共通点は、
守らなくてはいけないことはたとえ不条理なことでも
無条件で守り通すという部分では共通していました。
その一途な姿勢が「ここ一番」の真剣勝負に際して、
真剣になれる強さとそれに集中する強さを持つことに
繋がっているのだと思います
「ここ一番で能力を発揮する能力」が、プロスポーツ界での
日本人選手と韓国人選手の決定的な差だと思いますが
これは社会的な背景、家族愛、民族愛が強く影響していると思います。
最近問題になった日本スケート連盟の
不正経理による裏金流用問題で海外遠征時に
会長と専務理事は「NHK杯」のスポンサー料1千万円を現金ではなく、
国際競技遠征時にファースト、ビジネスの両クラスの航空券で提供させ、
選手たちにはエコノミーチケットを渡した上に2割を負担させていたそうです。
世界に通用する選手を育成するためにではなく、
私的に流用するとは許せない行為ですが、
以前から他のスポーツ協会でも「甘い汁」に群がる連中はたくさんいました。
会長選挙をめぐる議事録偽造事件で逮捕者を出したプロゴルフ協会も同じ体質で、
30年前と何も変わっていないなと感じました。
権力に利権は付き物ですが、応援してくれているたくさんのファンと
次世代の選手育成に還元する姿勢の協会でなくては
アジアの中でも取り残されるのは当然です。
切り返しの主役と脇役
ゴルフと同じように道具を使ってボールを打つスポーツで、
皆さんが経験したことがあると思われる代表的なものは
野球かテニスだと思います。
ゴルフも含めすべてに共通していることは、目標側に足を踏み込み
体重を移動しながら打つことです。
イチロー選手の「振り子打法」や王監督の「一本足打法」のように
上げた足を踏み込むことで加速状態を作り、
より遠く、より正確に飛ばすことができるのです。
ゴルフスイングでインパクトゾーンの加速状態を作るには
捻転差を強めながら目標側の軸足に踏み込むことが不可欠です。
「捻転態」は足首、ひざ、股関節、肩甲骨の回転差によって作られるものです。
トップオブスイングで肩を大きく回し、最大の回転態を作れば飛ぶと
勘違いしているゴルファーが多いようです
しかし捻ったものをほどきながら打つスイングは
上体だけのスイングになり「加速状態」は作れません。
バックスイングはクラブヘッドにスピードを与え
振りぬくための準備動作なのです
大きなトップオブ スイングを作ろうと、
いつまでもバックスイングをしていると
オーバースイングという無駄を作るだけです。
アドレスではバックスイングのポジションをイメージして、
バックスイングでは切り返しをイメージと、
常に先のポジションをイメージして、
切り返したら慣性にまかせるのが「流れるようなスイング」を作るポイントです。
上半身がトップに達する前に、下半身が先に目標側に踏み込んでいく
動きが「切り返し」ですが、どの方向に力をかけ続けるかが重要です
ボールと目標地点を結んだターゲットラインに対して
力をかけながら振りぬくことがポイントです。
初心者のレッスンでよく感じることですが、
遠くへ飛ばす=強く叩くと勘違いしてグリップを強く握り、
下半身は使わず腕と上半身の力だけで打っている方が多いようです。
そのまま練習を続けると、バックスイングで伸び上がって
インパクトで沈み込むという上下動でタイミングを取り、
ぶつけて終わり型のスイングになり
大きなフォロースルーを作ることは不可能になります。
しかしショートアイアンなら、上から下に力を使うぶつけ打ちでも
ボールは飛んでいきます。
ミドルアイアンも平坦な練習場のマットの上ならば、
手前に打ち込まれたヘッドでもマットで滑り、
それなりに飛んでいくはずです。
しかし芝生の上ではそうはいきません。
またクラブが長くなるほど、バックスイングのスイングアーク(円弧)より
フォロースルーのスイングアークが大きく加速性がないと、
飛距離と方向性の両立は不可能です。
プロゴルファーのスイングは例外なく
「大きなフォロースルー」の型を持っています。
ぶつけ打ちの生徒さんに「大きく振りぬきましょう」というと、
体の動きは止めたまま手とクラブを
そのポジションまでもっていこうと肩や腕に力を入れて
がんばっている方が大半です。
しかし上半身に力が入った状態では苦しいだけで、
バランスの良いフォローとフィニッシュを作ることはできません。
フォロースルーの型を作るには、クラブや手先の動きより
スイング全体の主導権を持たなくてはいけない「体幹の回転」を支える
左右の股関節とその周辺の筋肉の動きを感じながら
作らなくては実戦で通用しません。
切り返しで重要なターゲットラインに力をかけることを可能にする筋肉と
股関節の動きを覚え「体幹を大きく振りぬく」ことで、
腕とクラブが「大きく振られて抜けていく」のが正しい振りぬき方です。
上体にスイングの主導権を持たせ手先でコントロールしようとすると、
体幹の動きが止められてしまい、
必然的に左ひじの引けた、小さなフォローになります。
「クラブをしっかり振りぬきましょう」というと多くのゴルファーは
手を動かしてクラブを振りぬくものと思ってしまうようです
しかしスイングの主人公である「体幹」をターゲット側に振り抜くことで
脇役のクラブは振られて抜けていくものです。
クラブを振りぬこうと手を動かすイメージが強くするのではなく、
振られて自然に抜かれるものと考えれば、
手は受動的な脇役の存在になり、
主役である体中心のスイングが可能になります。