全米オープン
今年で107回目を迎えた全米オープンが終わりました。
会場のオークモントCCは、過去7回の全米オープンを開催しており、今年で8回目という、最多開催回数を誇ります。
難易度が高いことで有名なコースですが、今年は今までにも増して難易度が高く、8番のパー3は、288ヤードというロングパー3になり、12番のパー5は667ヤードになっていました。
ラフの長さも3種類で、一番長く絡みつくラフは13cmもありました。狭いフェアゥエイ・長く、厳しいラフ。
固く、早いグリーンと、全米オープンらしいセッティングで、戦前の予想通り?の難コースはテレビで見ている以上に難しく、日を追う毎にグリーンは乾き、よ り早く、固くなり、大きなアンジュレーションの近くにカップが切られたホールでは、読み違えた選手がカップを大きく外す場面も見られました。
さすがに「全米オープン」ゴルフの技術だけでなく、精神力も試される、そんなトーナメントがメジャーなのかもしれません。
会場のオークモントCCは、1903年、“鉄”で財をなしたビジネスマンMr・Fownesが「もっとゴルファーに厳しいゴルフ場を造ろう。ミスショットにはそれなりの罰が与えられるコースを作りたい」というコンセプトでこのゴルフ場が生まれたのです。
アルゲニー川沿いの丘陵に作られたリンクス調のコースは高低差が20メートル以上もあります。
オープン当初、350個あったバンカーの数は、一時期180個までに減ったのですが今年の全米オープンのために210個に増やしました。また、このオープ ンのために5,000本以上の木を伐採し、オリジナルのデザインに近づけるとともに、運営上のスペースを確保したそうです。
100年以上も前に、現代に通用するコースを設計したのですから、その先見の明というか、Mr・Fownesのセンスには敬意を表するしかありません。
過去41回のメジャーに出場、12勝を挙げているタイガーですが、最終日に逆転で優勝したケースはありません。
そして、今年もその“ジンクス”を破ることができなかったのです。優勝したのはアルゼンチンの37歳、そのユーモラスな歩き方からエルパト(あひる)のニックネームを持つA.カブレラでした。最終日は1アンダーでプレーし、トータル、5オーバーでフィニッシュ。
後続のプレーを待つ展開でした。
タイガーの18番のバーディパットが惜しくもカップの横を抜けた瞬間、4年連続でアメリカ人以外の全米オープンチャンピオンが誕生したのです。
アルゼンチンのゴルフ場でキャディをしながらプロになり、1990年から欧州ツアーを中心に活躍し、3勝を挙げていますが、メジャーのタイトルはもちろんはじめてです。
毎年、イーブンパーを優勝スコアと想定して難コースを準備するこの大会。
精度を求め、パー4の1打目をアイアンで打つ選手が目立ちましたが、カブレラは「ドライバーを何回使ったかは覚えていない。ただ、使える時はすべて使った」と振り返っています。
大会期間中の平均飛距離は全選手中1位の310.9ヤード。11位のウッズ(302.1ヤード)を上回りました、フェアウエーキープ率は48位(48%) と低いのですが、逆にパーオン率は3位(65%)となっています。 深いラフに入れたとしても、残り距離が短ければグリーンに乗せられる確率も高いという、彼なりの戦略があったのです。
カブレラの勝因は「思い切りの良さ」です。もちろん、今大会のドライビングディスタンス1位という飛距離でのアドバンテージもあります。しかし、それを上 回る強気の攻めが4日間で13個ものバーディーを呼び込んだのです。最終日の終盤連続ボギーを叩きましたが、それまでに貯金を作り、先にホールアウトした ことが勝因でした。
今大会、好スコアを叩き出した選手はいずれも「思い切りの良さ」が目立っていました。飛ばし屋で優勝争いに加わったバッバ・ワトソン、2日目に4アンダーをマークしたポール・ケーシーそして2日目、3日目にイーブンパーでラウンドし首位に立ったアーロン・バデリー。
その中でカブレラが優勝できたのは、最終日に「思い切りの良いプレー」ができたからです。 カブレラに1打届かず2位に終わったタイガー・ウッズは、最終日の最終ホールから数えて31ホールでたった一個のバーディーしか取れなかったのです。
そんな流れの中で最終ホールまで勝敗に絡んでくるのはさすがです。
それにしても次から次にお馬鹿な日本のマスコミです。TBSがヘリを飛ばしてゴルフ競技の邪魔をしたり、盗聴マイクをつけようとしたり、何とかという女子アナの手紙を競技中に渡そうとしたり、なんとも情けないマスコミによる事件が起きたばかりです。
今度は事もあろうに、全米オープンゴルフの2日前の公式会見場で起きました。この会見でテレビ朝日の記者がタイガー・ウッズに「ハニカミ王子」こと石川遼 君について質問してしまったのです。それも内容がひどすぎました。タイガー・ウッズには「彼について知っているか」と聞き、場内は失笑と場違いな質問に呆 れている事には気付かず、ミケルソンにまで「石川君にメッセージを」とやってしまったのです。
どうしてこの会見場での質問なのか?彼らは冷たい場の雰囲気には気付かなかったようです。
開いた口が塞がらないというか、これほどに日本のマスコミのレベルが低いは思いませんでした。
シャフトの硬さ「常識のウソ」
シャフトの硬さが合っていないと、ボールが左右に曲がるとよく言われています。
アマチュアの常識では、シャフトは硬い方がボールは右に飛びやすいが曲がりにくい、軟らかいとボールは左につかまると思っている人が多いようです。
これは全部「常識のウソ」です。
スイングロボットなどの機械が打つと、軟らかいシャフトは基本的にボールが上がって右に行きます。
逆に硬いシャフトは、ボールが上がりづらくなって左に行きやすいのです。
シャフトはしなってからしなり戻りますが、硬いシャフトはしなる量が少なくて、しなり戻りのスピードが速く、軟らかいシャフトはしなるスピードがゆっくりで、しなり戻りが遅いからフェイスが開いたまま当たりやすいのです。
そして、開いたまま当たるからロフトが増えて、ボールが上がりやすいし、右へ出やすいのです。
硬いシャフトは早くしなり戻るので、フェイスが被りやすい。被るということは、ロフトが減って左に 向きやすいので、ボールが上がりづらくなって左へ行きやすくなる。
シャフトを機械的に上手く振ったことが前提の結果ですが、そうならない人というのはシャフトが上手く使えてないだけでなく、「常識のウソ」の先入観念が引き起こすスイングにも問題がある可能性が高いと思います。
シャフト交換で自分にあったシャフトを決めるには、同じロフトのヘッドでシャフトの硬さの違いを試打してみることをお勧めします。私のスタジオにはシャフ トを重量別と硬さ別にデモクラブをラインアップしてありますし、インパクトの瞬間を高速度カメラでとらえることも可能です。
いろんなシャフトを試してもらうことも大事ですが、硬さによってどういうスイングになっているかを見ないとフィッティングを失敗してしまいます。
シャフトが硬いと一番弾道に影響するのはボールの高さです。同じスイングをした場合、シャフトが硬いほどボールは低く打ち出されて、軟らかいシャフトほどボールは高く打ち出されます。
何故かというと、シャフトはシャフトの延長線より右後方に位置するクラブヘッドの重心に向かってしなります、そのため軟らかいシャフトほどロフトが増えてボールが上がりやすいのです。
硬いシャフトと軟らかいシャフト、どちらが合うかというのは一般的にはヘッドスピードで決めますが、上手く打っているのにボールが低い場合はシャフトが硬い可能性があります。(ロフトはある程度正しいものを使っている事が前提)
打出し方向がバラつく人の場合は、シャフトの硬さが合ってないのです。
硬すぎるシャフトの場合、右に高いボールは結果として 絶対出ません。軟らかいシャフトは右に低いボールは出づらく。左方向へは高いボールも低いボールも両方でます。
では何故「常識のウソ」がまかり通っているかと言うと、有名メーカーのドライバーに標準装着されているやわらかい軽量シャフトは、ほとんどが元調子です。
これは販売価格を下げるために、使用するカーボンシートの弾性率が20トンと低く、軽量化のために使用する量を抑えなくてはいけないからです。
少ない材料では手元側に充分な硬さが出せません、当然しなり量も増えます。メーカーの標準装着用シャフトに硬さや弾き感を出すためには、材料をたくさん使用する必要があるため、シャフトが肉厚になり結果として重くなります。
軽いカーボンシャフトなら操作しやすく左にも打てますが、重いスチールシャフトをスイングすると右に飛びます。
つまり軽いシャフトはやわらかく、重いシャフトは硬かった時代の重さによる弾道の変化を、シャフト硬度が原因であるかのようにすり替えてしまった誤解から生まれた「常識のウソ」なのです。
シャフトが硬いと打ち出しが左に行きやすいもうひとつの理由は、硬いシャフトをしならせようとして力むからです。
力むと体というのは開く方向へ動きます。
体が開くと基本的に打出し方向が左にいきやすくなります。
体が開いてボールがつかまってしまうと左に低いボールが出ますし、つかまらなかった場合はこすって左に打ち出してから強烈にスライスするボールが出てしまいます。
適性シャフト硬度を見つけだすには、打出し方向を見るということが役に立ちます。
合わせてスイングをビデオ撮影してヘッドの入射角度とスイングプレーンをチェックすることをお勧めします。