12月15日2019年
今年の女子ツアーの最大の話題は
「黄金世代」を代表する渋野の活躍でした、
昨年のファイナルクオリファイングトーナメントでは
40位と今季の前半戦で何試合出場できるか
分からなかった状況から、
ツアー4勝を飾ったのは凄いことです。
「全英女子オープン」では、
42年ぶりに日本人海外メジャー制覇を果たし
「シンデレラストーリー」を完結させたのです。
シーズン出場6戦目となった
「KTT杯バンテリンレディスオープン」の初日、
渋野はプロ転向以来ワーストとなる81を叩き、
106位タイの最下位という最悪のスタートを切ります。
しかし2日目に66をマークし、50位タイで予選を通過
「コーチからやれるだけやってこいと言われたので
攻めようとは思っていましたが、
今日のゴルフは自分にも意味がわかりません(笑)」と、
今となっては渋野らしいコメントをしていました。
開き直ったときの強さ、
ここ一番での圧倒的な集中力の高さは
この時に始まっていたのです。
その勢いで翌週の
「フジサンケイ・レディスクラシック」で2位タイに食い込み
さらに2週後の国内メジャーである
「ワールドレディスチャンピオンシップ・
サロンパスカップ」でツアー初優勝を飾りましたが、
この時点で渋野の強さは本物だと誰もが思い始めたのです。
今季を振り返ると、何かの目標を持ったときの
渋野は必ずと言っていいほど、
好スコアをマークしています。
「全英女子オープン」の出場権を得るには、
6月終了時での賞金ランキング5位以内に
入っていなければいけなかったのですが、
残り2試合となった時点で渋野は圏外でした、
しかし7位タイ、4位と結果を残し、
賞金ランキング3位に滑り込み、
見事出場権を手にしたのです。
どちらも最終日に60台をマークして
順位を上げての結果で、上位に入れなければ
「全英女子オープン」の出場は叶わず、
渋野フィーバーもなかったでしょう。
数少ないチャンスをものにする
集中力が最大の武器ですが、
想像を絶するような練習量をこなしています。
1年半前から渋野のコーチを務める青木翔氏によれば、
当初はサンドウェッジで1日
600~700球を打っていたといいます。
ボールをとらえる感覚や正しいスイングを
身につけることが狙いですが、
地道な練習を必死で繰り返してきたからこそ、
圧倒的なショット力が短期間で身についたのです。
「全英オープン」に出場する前、
「以前と比べれば、アイアンショットの精度や
アプローチ、パットといったショートゲームの
精度は上がってきていると思いますが、
まだまだ伸びしろがあると思うので
もっと頑張りたいです」と語っていた渋野ですが、
男女に関係なく、経験が重視されるゴルフの世界において、
新人がそう簡単に賞金ランキングの上位に
顔を出すことは考えにくく、
海外メジャーでは経験豊富なベテラン選手でも
優勝には手が届かないものです。
一躍話題となった「バウンスバック」は、
以前からゴルフ用語としては存在していたものの、
日本でここまで取り上げられたのは始めてです。
渋野の魂の叫びのような、
ボギー後のバーディというプレースタイルに、
ゴルフファンは惹きつけられました。
「なにくそ」精神でバーディパットをねじ込み、
ボギーを帳消しにする。
そんな時の渋野の目は、
一点しか見えていないように感じます。
研ぎ澄まされた集中力と、内に秘めた怒り。
これらの結集がバウンスバック率1位という数字に現れたのです。
笑顔ばかりがフィーチャーされる渋野ですが、
集中しきっているときの渋野は目を細め、
ギャラリーの声援に軽く応えるのみ。
視線は次のホールへと向かい、
獲物を捕らえる猛獣のような目つきをしています。
バーディを奪えば、満面のシブコスマイルで
ギャラリーを魅了する。
そんなドラマがプレー中に何度も訪れるため、
観戦していてもあっという間に
18ホールが終わってしまうというのが
渋野の魅力なのでしょう。
「メジャーチャンピオン」となった渋野は、
後半戦に入り「デサントレディース・東海クラシック」で
8打差を逆転しての優勝を飾り
「大王製紙エリエールレディスオープン」では、
前週の大会で予選落ちしたにもかかわらず、
逆転で優勝しています。
前半戦同様、窮地に追い込まれるときほど
実力を発揮できる、
稀有なタイプであることを改めて証明しました。
「賞金女王」のタイトルこそ
奪えなかったものの2位に入り、
今後は自分もやればできると考える
若手がどんどん出てくるでしょう。
渋野と同じ98年度生まれの
「黄金世代」からは、来季のシード選手50人中11人が
ランクインしました。
彼女たちにしてみれば、
渋野に負けたくない気持ちは相当強いはずです。
「リコーカップ」の最終日に渋野と回り、
2位タイとなった2学年下の古江彩佳の世代は
「プラチナ世代」と呼ばれており、
将来有望な選手が数多く、
第二、第三の渋野を虎視眈々と狙っているのは
間違いありあません。
経験の浅い渋野の弱点はアプローチですが、
このオフにどこまで精度を上げるかに期待しましょう。
来年は海外のトーナメントに
出場する機会も増えてきますが、
長時間の移動で体調をどこまで
キープできるのかも課題になることでしょう。
大フィーバーが巻き起こった今年、
出歩けばサインや写真を求められるようになり、
気を遣って車の運転を自重するようになったといいます。
本来はミスが出ればすぐ仏頂面になり、
悔しさを隠そうともせず、笑顔だけでなく
喜怒哀楽のすべてが強く出るタイプです。
しかし「全英オープン」優勝時の笑顔から名づけられた
「スマイルシンデレラ」のイメージによって、
世間のイメージと自分本来の
キャラクターのギャップにも悩み、
結果を求められ自身を見失っていた時期もありました。
最終戦までもつれこんだ賞金女王争いは、
鈴木愛が2017年以来となる
2度目の戴冠で幕を閉じました。
大きなプレッシャーがかかり、
弱音、愚痴、いら立ちが募り、
さらには様々な感情があふれるなか、
これらを隠すことなく鈴木は偉業を達成しました。
渋野と鈴木は同組で直接
ぶつかり合うことはありませんでしたが、
大会2日目そして3日目と
、冷え込んだ夕方の練習グリーンで、
女王をかけた2人が、
最後の最後までパッティング練習を繰り返し、
真っ暗になるまで球を転がし続けていたということです。
言葉を交わすことはなく、互いの練習に没頭し、
無言でたがいの意地を
ぶつけ合う姿は見ているものの心を奪ったということです。
圧倒的な練習量で努力を重ねるのは
2人だけではありませんが、
ツアー会場での練習量は、
この2人がずば抜けているのは誰の目にも明らかです。
パーオンホールでの平均パット数1位の鈴木と2位の渋野。
攻めのパッティングでバーディを取り続ける2人ですが、
平均バーディ数1位は渋野で、鈴木は3位です。
いつまでも球を転がし続ける2人の血のにじむような努力が、
成長に結びついた一年でした。
国内女子ツアーの中心選手として19年を引っ張ってきた2人は、
軸足を日本に置きながら、
ともにメジャーを中心とした
海外試合のスポット参戦を増やしていき、
8月に行われる「東京五輪」の代表の座を争うことになります。
願わくば二人ともオリンピックランキング15位以内に入り、
畑岡と3人で出場して欲しいものです。
12月1日2019年
11月15日2019年
日本初開催のPGAツアー
「ZOZOチャンピオンシップ」は、
13年ぶりの来日だったタイガー・ウッズが、
松山英樹に3打差をつけ優勝しました。
1996年「ラスベガス・インビテーショナル」での
初優勝から23年の年月を経て、
往年の名手サム・スニードと並ぶツアー
最多優勝タイの82勝目を記録しました。
ここまでの勝率は22.8%で、
鉄人を謳われたベン・ホーガンの持つ21.3%を上回り、
史上最高の勝率となっています。
タイガーは43歳になり、最近では体の衰えを
感じるということですが、S・スニードは5
2歳で自身最後の82勝目を挙げています。
S・スニードの歴代1位の記録を塗り変え、
ジャック・ニクラウスの持つメジャー18勝の更新にも
期待が持てます。
「サムの様に52歳までプレーし続けられたらいいね。
数年前に同じ質問を聞かれたら答えは違ったかもしれないけど、
未来の見通しは明るい。
彼のように40代後半~50代前半でも
安定したプレーができればいい」と抱負を語っています。
2ヶ月前に手術を受ける前は、
ヒザのせいで体の回転もままならず、
腰とお尻にも負担がかかり、
しゃがむことも出来なかったということです。
タイガーの歴史的な優勝が日本で達成されたことは、
日本のゴルフファンにも、
とても意義があることでしたが、
タイガーにとっても感慨深く、
思い出深い試合となったことでしょう。
タイガーの数々のメジャー優勝、
レギュラーツアー優勝を見てきましたが、
日本のゴルフ史上にとって歴史に残る
PGAツアー初開催の大会で、
達成された事はゴルフの神様の仕業だったかもしれません。
PGAツアーでもタイガーは別格で、
他の選手たちとは違う緊張感が漂い、
容易に何かをお願いできるタイプではないはずです。
しかし今回は日本のファンやスポンサーの意向を考慮し、
スポンサーとの記念撮影を行ったり
「キッズエスコート」をPGAツアーで初めて行うなど、
いつもとは違う対応にも気軽に応じてくれました。
タイガー自身は久しぶりの来日に合わせて、
数々のスポンサー業務をこなす1週間でもありました。
ナイキのイベントに始まり、松山、ロリー・マキロイ、
ジェイソン・デイとのスキンズゲーム、
水曜日のプロアマ戦、第1ラウンド後には
レンジでのクリニックなどなど
、いつものタイガーのルーティーンに比べると
様々な仕事が多く、試合に集中できない
可能性もあったはずです。
ヒザの手術後の復帰戦でもあり、
ヒザの調子次第では棄権もありえたのですが、
終わってみれば完全優勝。
タイガーと松山の優勝争いという絵に描いたような展開で、
大いに盛り上がった大会でした。
無観客試合となった土曜日は、
諦めきれないギャラリーが
フェンスの前に大勢集まったということです。
運営サイドのPGAの手腕の素晴らしさも
大会を盛り上げました。
大雨で第2ラウンドが順延となり、
10番のパー4はティイングエリアの位置を
大幅に変えざるを得ないといった
予想外の事態となりましたが、
柔軟にスケジュールを変更し、
選手の負担にならないように72ホールを消化しました。
「72ホールをやりきる」という姿勢が
トーナメントを運営する上で、
重要だという意識の高さは素晴らしいと思います。
日本のツアーでは、競技短縮か中止という選択肢が
濃厚となっていたと思います。
国内ツアーでは、
JGTO主催大会(日本ゴルフツアー選手権)など以外、
JGTOだけの判断では決められない要素が多いのです。
開催コース、大会スポンサーや
テレビ放送局との利害関係もあり、
JGTOだけの独断で決めきれないのが現状です。
第3ラウンドのスタートを、
日の出30分後という判断に踏みきったり、
月曜日のプレーを午前中に終わらせたのは、
次戦の中国「WGC HSBCチャンピオンズ」に
向かう選手を配慮した英断でしたが、
72ホールを選手たちに強いるだけではなく、
選手の立場も考え、コースの状況から最善の選択をする。
さらにギャラリーと選手にとっても
ウィンウィンでいられる運営を、
PGAが目指していることは驚きでした。
世界のメディアが日本のギャラリーと
コース対応の素晴らしさを賞賛してくれたのも嬉しいことです。
来年の「ZOZOチャンピオンシップ」は、
タイガーがディフェンディングチャンピオンとして、
すでに参戦を表明しています。
戦いを見届け、帰路につくギャラリーの手には
「82」という数字が書かれた赤い缶バッジが
プレゼントされました。
サム・スニードのツアー最多勝利記録に並んだ
タイガーの82勝を記念し、
PGAツアーがあらかじめ用意していた記念品で、
その瞬間を見届けたギャラリーに配布されたことも、
大きなサプライズでした。
国内男子「マイナビABCチャンピオンシップ」と、
同じ週に開催されるゴルフ世界選手権
「WGC・ HSBCチャンピオンズ」ですが、
2年連続の賞金王を狙う今平周吾は、
賞金ランク上位2人の出場資格を放棄し、
昨年に続いて「マイナビABC」に出場しました。
その理由は「HSBC」の獲得賞金が、
日本の賞金レースに加算されないことにあります。
初出場した堀川未来夢は「今になって、今平が
日本ツアーを優先する意味がちょっと分かった気がする。
加算されないし、こっちでプレーしていても、
日本ツアーが気になっている自分がいる」と、
語っています。
堀川はビザを取って開幕2日前の午後になんとか中国入りし、
事前ラウンドなしのぶっつけ本番で臨んだのですが
結局49位タイに終わっています。
年間4試合の「WGCシリーズ」ですが、
2010年に日本ツアーの賞金加算大会から除外されています。
国内大会のスポンサーへの配慮とともに、
予選落ちのない4日間大会で設定された
賞金額が高すぎるということでした。
マイナビABCの優勝賞金はが3000万円、
HSBCは170万ドル(約1億8394万円)のため、
1試合で賞金レースのバランスを崩しかねないという
懸念からなのですが、今季からは日米ツアー共催の
「ZOZOチャンピオンシップ」が始まり、
獲得賞金の半額が国内のランキングに
反映させることが決まりました。
4大メジャーは100%を加算、ZOZOは50%、
WGCは0%という規定は、選手にとっても
理解しにくい規定となってしまいました。
「賞金王」タイトルのご褒美「5年間の長期シード」は
将来の海外進出において大きな意味を持ちます。
翌年の「全英オープン」出場も確定し
「マスターズ」からも招待の可能性が高まります。
マイナビで優勝は逃したものの、
2位に入り賞金ランクトップに躍り出た今
平の戦略も理解できますが、
世界に対して消極的と感じるファンもいるのも事実です。
WGCを優先したチャン・キムや石川遼、
浅地洋佑らは逆に日本ツアーを
軽視しているわけではありませんが、
日本ツアーの目指すべき方向性が不明瞭なのが問題です。
ゴルフ以外のプロスポーツを眺めても、
国内だけでの活躍では、ファンを納得させることが
できない時代が来ています。
JGTOが掲げる基本理念には
「世界が認める技量を備えたツアープレーヤーが、
そのプレーと人間性によって、世界の人々を魅了し、
スポーツによる国際交流の担い手になります。
次世代を担う子供たちに世界への道を拓きます」と
なっています。
世界とリンクするチャンスをJGTOが制限することは、
その理念に反し時代遅れだと
いわれても仕方のないことだと思います。
11月1日2019年
「日本オープンゴルフ選手権」の最終日、
ドライビングレンジでプレーオフに備えていたチャン・キムは
優勝を知ると左手で顔を覆い涙を流しました。
2年ぶりとなるツアー4勝目でしたが難攻不落の
古賀CCの18番をドライバーで攻め、
5mのバーディパットを沈めて最終日「67」をマーク。
通算1オーバーで抜け出し、塩見、堀川の終盤の失速もあり、
日本のメジャー大会を初めて制しました。
3勝をマークした2017年、C・キムは背中の痛みを訴え
賞金王争いを演じていた終盤戦を回避しています。
「何もできず、病院にいる期間も長くて
友人に会うことすらできなかった」という深刻な病状でした。
左手首にも故障があり、
今年1月の「SMBCシンガポールオープン」は、
不安を抱えたままの復帰でした。
時間の経過とともに体調とゴルフの状態も上げて、
賞金ランク7位で迎えたメジャー「日本オープン」でした。
古賀GCは6817ydと短く、狭く絞られたフェアウェイと
深いラフが特徴で、2008年大会で優勝した片山晋吾は、
1Wをキャディバッグから抜いてプレーをして話題になりました。
練習ラウンドでC・キムもティショットで3Wや
ロングアイアン中心のマネジメントを試しますが、
次第に積極策をとることを考えたということです。
ドライビングディスタンス部門を
ダントツでリード(平均319.57yd)する、
日本ツアーで一番の飛ばし屋は
「僕はトラブルを越えていくことができる」と、
最終ラウンドでは1Wを10回握り
リーダーボードを見ないままプレーしたということです
72ホール目は「バーディを決めれば
トップ3に入れると思って打った。
スコアを見ていたら心境も変わったと思う。
逆に見ないでよかった」と、振り返っています。
最終ラウンドをスタート時点では5オーバー17位でした。
トップとの8打差をひっくり返したのは、
ツアー記録に1ストロークに迫る大逆転劇でした。
「今までの苦しみを考えると、大きな意味がある」と、
賞金ランキングも一気に1位に浮上しました。
13番まで2位を4打リードしていた塩見好輝の
待望のツアー初勝利はお預けになりました。
14番でダブルボギー、15番でトリプルボギーをたたいて
リードを失い一気に失速。
最終ラウンドは前半「36」に対し、後半「43」。
通算5オーバーの10位タイに終わり
「14番のダボはもうしょうがない。
ぜんぜん大丈夫だった」と振り返っていますが、
首位の座を明け渡した15番のプレーには
「ちょっと欲が出た。バーディを獲りに行こうと思った」と、
悔やんでいました。
フェアウェイからの第2打はピンまで残り100ydで
「すごいフォローだったので、
SWだったらちょうどいいと思った」と、
決断したのですが、グリーンに落ちたボールは
バンカーに転がり落ち、左足下がりのライから脱出に
2打を要すなど5オン、2パットのトリプルボギーとなり、
シード権も確定できずに大会を終えました。
「日本ツアー選手権・森ビル杯」で初勝利を飾り、
メジャーでのツアー2勝目がかかった堀川未来夢は
塩見の失速により、終盤17番で突如首位に浮上しますが、
上がり2ホールを連続ボギーとして2位タイに終わりました。
17番のパー3では右サイドのピンに対し、
第1打をグリーン手前に刻む作戦に出ながら、
グリーン上で首位に立ったことを確認した後の
2mのパーパットを外します。
トップタイで迎えた最終18番は、
手前の花道から「一番自信のあるクラブ」として
パターをチョイスしますが、
ピン手前から再び2mのパーパットを外し万事休す。
堀川は「こういうコースでこそ、
マネジメントがつくづく大事だと感じた」と振り返りましたが、
賞金ランキングは9位から6位に浮上しました。
堀川は、自身のマネジメントに徹して17番のパー3では、
ワンオンを狙わず刻むという選択を取りました。
またC・キムは、最後まで難コースを恐れず、
持ち味である飛距離を武器に積極果敢に攻めたことで、
大逆転に成功しました。
紙一重の差ですが、バーディもダブルボギー以上も
多く出るコースで、極度の緊張感の中での攻守が、
明暗を分ける「日本オープン」らしい
シビアなセッティングでした。
予選カットライン上の53位タイで決勝ラウンドに進んだ石川遼は
シーズン初めての予選落ちはなんとか免れました。
「昨日を終えた段階で70位くらいまで来ていたので、
カットラインが落ちて通るかなという思いで寝ていました」と、
決勝ラウンドの準備をしていた様です。
インスタートの「裏街道」となったムービングデーも
「通ったからには何があるか分からない。
なんとか自分ができる最大限のゴルフがしたい」と、
序盤からドライバー中心の攻めのゴルフでした。
第3ラウンドは13ホール消化して、
通算7オーバーの暫定27位タイと順位を上げ
日没サスペンデットとなりました。
石川の最終日は23ホールの戦いで、
全員がスコアを落とす展開でしたが、
3日目を69、最終日を71とまとめ、
最終的には12位タイに順位を上げ、
シーズン終盤の活躍にも期待が持てそうです。
「富士通レディース」の最終日は、1打差2位でスタートした
アマチュアで19歳の古江彩佳が、6バーディ、1ボギーの「67」
通算17アンダーとスコアを伸ばし
史上7人目のアマチュア優勝を成し遂げました。
前日は「優勝できたら夢のまた夢」と語っていましたが、
現実となり「本当にとりあえずうれしいです」と、
喜びをかみしめました。
優勝により「プロ宣言」が可能になったため、
予定していた最終プロテストは免除になりました。
「プロテストはしびれると思うので、
運が良ければ優勝したいと思っていました。ほっとしています。
プロテストは普通の試合とは違うと感じていました。
失敗できない恐さがある。それに比べれば
今日の方が楽だったかもしれない」と語りましたが、
LPGAの理事会での承認を経て
「樋口久子・ 三菱電機レディス」での
プロデビューが決まり
「賞金女王になるのが小さい時の夢だった」と、
改めて目標を口にしています。
賞金総額2億、優勝賞金3600万円の
「NOBUTA GROUP ・マスターズGCレディース」は
「アースモンダミンカップ」「日本女子プロゴルフ選手権」と並ぶ
年間39試合の最高額の試合で「賞金女王」を占う大会です。
2週ぶりに出場の渋野日向子は、
日米ツアー共催の「ZOZOチャンピオンシップ」を控える
千葉県・習志野カントリークラブで行われた
エキシビションマッチを観戦しました。
米ツアー81勝のタイガー・ウッズと初対面し
「オーラがすごい。ゴルフ界の神様、生きる神ですよね」と、
興奮気味に話していました。
渋野は先輩プロの有村、笠と一緒に観戦。
関係者から「今年の『AIG全英女子オープン』の優勝者」と
タイガーに紹介され記念撮影しましたが
「2ショットも撮ってもらって、過呼吸になるかと思った。
あああああ、おお、みたいな感じで、
撮影してもらったときは手が震えていました」と、
笑顔で目を輝かせていたということです。
賞金ランキング1位のシン・ジエを、
約610万円差で追って迎える高額賞金の大会ですが、
会場のマスターズGC内には、
2011年の東日本大震災のチャリティイベントで、
コースを訪れたタイガーが植樹した木もあります。
「本当に大事になると思う。今日の調子はまだ何とも言えないけど
しっかり練習していきたい」と、
渋野の目標である「賞金女王」と
「東京オリンピック」のための戦いが続きます。